下校と影
「一緒に帰ろうと思って…」
化粧っ気もなく、一重のうす顔でどこにでもいるようなふつーの女子高生だ。
彼女は、うちの部活の部員と付き合っている。
「え、今日遅いから帰ってねって言ってたじゃん!寒かったでしょ…ありがとう」
部活が終わる頃に合わせて下駄箱で待っていたのだろうか。
寒い手を擦り合わせたりして待っている。
なんて健気な女だろう。
周りからひゅーひゅーなんて茶化されて
少し照れくさそうにして帰る。
「じゃあ、帰るわ〜!じゃあな!
マネージャー、お前一応女だから気をつけて帰れよ笑」
「うっさいな!わかってるし!!
早く帰んなよ!」
2人で並びながら歩いて帰っていく。
西陽が眩しくて、
つい視線を下にそらした。
そこには、大きな影が2つ仲良さそうにのびていた。
その影のうちの1つに、本当はわたしがなりたかった。